高瀬総合法律事務所

#01
2022,09,28

  
今月から高瀬総合法律事務所はメルマガ配信を行うこととなりました。
皆様のお役に立つ法律情報と弁護士の人となりがわかる雑駁としたお話を交えながら、 少しでも気軽に楽しく読んでいただけることを心掛けてまいります。
読んでいるだけでちょっと面白い法律

軽犯罪法

読んで字のごとく、基本的にショボい犯罪を取り締まるための法律。
施行は昭和23年5月、終戦後間もなくということで、全体的にレトロな雰囲気が漂います。
全部で4条しかなく、第1条にその犯罪のカタログが載っています。

トップバッターは、第30号後段「馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者」。
現代では、「ふれあい動物園」とかで悪ガキがウェェィ!ってやらかしてもおかしくない行為ですね。
豚や羊ならセーフで、馬と牛だけアウトな理由はよく分かりません。
これを最初に読んで思ったのは、馬はともかく牛を「驚かせて逃げ走らせる」というのは
相当高度なスキルを要するのではないかということでした。
少なくとも、やれと言われても私は自信がありません。

次に行きましょう。第4号、
「生計の途がないのに、働く能力がありながら職業に就く意思を有せず、且つ、
一定の住居を持たない者で諸方をうろついたもの」。
…ええやん。ほっといてやれよ。
旅人のスナフキンは違法ですか?
一瞬寅さんも思い浮かびましたが、良く考えたら彼はテキ屋という仕事を持っていました。

ストレートすぎるのは、第22号「こじきをし、又はこじきをさせた者」。
放送禁止用語(^^;
第26号「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、
又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」については
「させた」ってどんな状況よ!?と突っ込みたくなります。

その他にも「ダンスホール」「乗合自動車」(第5号等)、
「いかだ」(第7号)、「割当物資の配給」(第13号)など、
犯罪のショボさゆえに(?)ずっと改正をサボった結果として残った用語たちが
昭和レトロな雰囲気を醸し出しています。
興味があれば一度読んでみてください。

事業承継と事業継承どっちが正解?

事業承継と事業継承,「承継」(しょうけい)と「継承」(けいしょう)。
一見して同じような言葉に見えますがどちらが正しいのでしょうか。

実際に中小企業の経営者とお話をしていると、どちらかというと「事業継承」という言葉の方が多く使われている印象です。

法律的な手続きとしては「事業承継」が正しいのです。

事業「承継」と「継承」違いは何でしょうか?

「承継」とは、先代の人から「地位・精神・身分・仕事・事業などを受け継ぐ」という意味であり,「継承」とは、先代の人から「義務・財産・権利などを受け継ぐ」という意味のようです。

少し分かりにくいですね。

もう少し踏み込んで分析すると

「継承」とは前任者の地位や身分そのもの(王位継承など)や,前任者が獲得した財産的権利,会社で言えば、経営権など「具体的」なものを受け継ぐのに対し

「承継」は、前任者の代のもの一切を受け継ぐ,というように「継承」よりも更に広く、より抽象的な意味で使われるようです。

以上を踏まえて、改めて、なぜ会社を次の代に引き継ぐことを事業「承継」と言い表すかといえば、先代が会社に対して有していた権利,義務,財産一切を受け継ぐから、ということになります。

事業承継はいわば会社の相続ともいえますが、相続は「被相続人から相続人に対する財産上の権利義務の承継」と定義されることからも
やはり、事業「承継」が正しい表現であるといえます。

次回から事業承継の中身や流れについてお話していきたいと思います。


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