高瀬総合法律事務所

#23
2024,7,26

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

納涼奇譚

盛夏になると、ぞくっと冷える怖い話を聞きたくなります。
しかし、法律絡みの怖い話となると「控訴し忘れる」など本当に洒落にならない話になりかねませんので、方向性を変えて、少し不思議な世界のお話をしてみましょう。

本稿を執筆するにあたってまず思ったのが、不動産関連訴訟で「幽霊屋敷を買わされた」と主張しているものが存在しないか?ということでしたが、残念ながら、判例検索システムでは一件も見当たりませんでした。かろうじて、十数年前のニュース記事にて、賃借した店舗が「幽霊が出る」とのいわくつき物件である旨を説明しなかったことを理由に、飲食店店主が賃貸人に対して損害賠償を請求したという事件があったくらいです。
当該店舗では、無人なのに人感センサーの照明がつく、足音がする、白い影が見えるなどのそこそこの怪奇現象が発生していたらしいですが、訴訟活動や判決においてこれらをストレートに「怪奇現象」と構成することは、弁護士や裁判官には通常許されていません。そうすると、「電気配線の不具合」とか「家鳴り」とか「心理的瑕疵」とかそれっぽい言葉でお茶を濁すことになり、結果、心霊スポットか否かという争点は訴訟上顕在化しないことになってしまいます。
巷に溢れる不動産関連訴訟の中には、法曹関係者がそっとオブラートに包んだことにより闇に葬られた心霊スポットが、もしかしたら紛れているのかも知れません。

また、法律系の豆知識コラムでは「丑の刻参りは罪に問われるか」というお話がよく採り上げられますが、呪術と法律の間には、実はそこそこの親和性があります。
日本でも、明治時代の初期までは、「魘魅」(えんみ=人を呪術で呪い殺すこと)や「呪詛」といった手段による殺人を「謀殺」(計画殺人)として扱う旨の刑法典の規定が存在していました。現在でも、アフリカの某国では呪術の防止に関する法律が現役だったりしますし、東南アジアの某国では、呪術師が占いや護符の販売をする行為などが禁じられています。
ただ、各国の法規制の持つ意味合いは、呪術の危険性を本気で警戒しているもの、呪術と称して人心を惑わす詐欺的行為を禁止するもの、当地の既存の信仰と相いれない行為として禁止するものなど、当地の歴史的・宗教的背景に応じてまちまちのはずです。このへんの比較法研究は興味深いと思いますので、お子様の夏休みの自由研究向きかも知れません。多少は担任の先生に心配されるでしょうが、自由研究などやったもん勝ちです。かくいう筆者も小学生の頃、孤島の屋敷に招かれた10人が全員殺されるという内容の小説を題材に読書感想文をしたためました。

無味乾燥に思える法律の世界も、意外にオカルトと接点がありますね。
不思議な世界への扉は、もしかすると、実は皆様のすぐ近くにあるのかも知れません。

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会社経営と株式
株式について最低限押さえて欲しいポイント
~株主総会の運営②~

今回からは、既にお話しした株主総会の一般的な流れが中小企業ではどのように変わるのかについてお話しします。

まずは、株主総会の招集通知発送の期限についてです。
このご相談は実務上、非常に多いです。なぜならば、中小企業の皆さんが株主総会を開催する場合は必ずと言っていいほど緊急に株主総会を開催する必要性がある場合だからです。したがって、株主総会を開催するために必要な招集通知の期間は短ければ短いほどいいのです。
ところが、この招集通知の期間について会社法は細かく場合分けをしており非常に複雑で覚えづらいように定められています。そこで、今回はできるだけ分かりやすく整理してみました。

原則:2週間
①:(例外1) 非公開会社:1週間
②:(例外2) 非公開会社で取締役会を設置していない会社:更に定款で1週間未満(3日や5日など)可能
③: ①②の例外 ただし、書面(郵送)または電磁的方法(メール)で議決権行使を認めた場合(書面投票制度または電子投票制度)は、2週間

このようになっています。
③の理由は、書面投票や電子投票の場合は、株主総会に出席しないので検討期間を確保するためです。
また、1週間や2週間の数え方は、招集通知の発送または発信日除いて1週間(7日)や2週間(14日)の日数が必要ということです。たとえば、招集通知期間が1週間である場合で、5月12日(火)に株主総会を開催するのであれば、5月4日(月)までには招集通知を発送しなければなりません。
一方で、この1週間や2週間前に招集通知を発送したかは、発送されていればよく相手に到達することまでは必要ありません。そのため、相手が行方不明や受領拒否している場合でも、発送したことを証明できるようにしておけば良いということになります。

そして、本当に急を要する場合はウルトラCというわけではありませんが、最短で招集することも可能です。つまり、招集通知期間0です。そのためには、全員が開催に同意し、全員が株主総会に出席する必要があり、この条件を満たせば最短最速で招集手続きを省略して株主総会を開催することが可能になりますのでご参考ください。


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●コラム:「株主総会はなぜするのか?株主総会をする理由。株主総会運営基礎編」はコチラから

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