高瀬総合法律事務所

#25
2024,9,27

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

究極の塩漬け

判決言渡しの直後、裁判所の入口まで猛ダッシュしてきた人が「全面勝訴!」や「不当判決」などと墨書された垂れ幕を掲げている光景を、皆様も報道でご覧になったことがあるはずです。
あの垂れ幕、業界での通称は「びろーん」と言うらしく、なんならAma**nでも買えます。
筆者はいまだびろーんをしたことはありませんが、虎視眈々と機会をうかがっています。

そんな豆知識は横に置いて、今回は、日本で最長の民事訴訟についてのお話です。
その名も「光華寮訴訟」。なんと、現在まで57年間終わっていません
そもそもの始まりは大学の留学生寮の明渡請求事件で、一見すぐカタが付きそうな訴訟だったのですが、背後に中国と台湾の複雑な政治・外交問題が絡み、どんな判決を出しても確実に揉めるため、誰も触りたがらない究極の塩漬けと化しています。
訴えが提起されたのは昭和42年(1967年)、地裁と高裁を行ったり来たりして最後の控訴審判決が出たのが昭和62年(1987年)で、ここまでで既に20年が経過。
そして、あろうことか、最高裁は審理を更に20年放置した挙句、平成19年(2007年)に出した判決は「地裁からもう一回審理をやり直せ」というもの。その理由は、「原告には35年前からこの訴訟をする権限がなかったから」という、稀に見る盛大なちゃぶ台返しでした。

この40年の間にとっくに当時の寮生などいなくなっており、もはや何のために何を争っているのかよく分からない状態でキラーパスを受けた地裁の裁判官の胸中は、察するに余りあります。
そして、審理をやり直すはずの地裁でも更に塩漬けの熟成は進み、ついには昨年の夏、問題の寮は老朽化で取り壊されるに至りました。
もはや建物もなく人もおらず、それでも終われない亡霊のような訴訟。ここまでくると、一周回ってある種のロマンを感じますね。

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会社経営と株式
株式について最低限押さえて欲しいポイント
~株主総会の運営④ ~

今回は中小企業で非常に便利な書面決議について具体的に見ていきます。
この株主総会の書面決議の手順ですが、若干複雑で厳格です。
前提として、この書面決議を行うためには株主全員の同意が必要です。上場企業は現実的に不可能ですが、中小企業であれば十分に可能でしょう。したがって、株主全員の同意が得られる状況でなければ、書面決議は利用できないので注意が必要です。

そして、手順ですが、

  1. まず、取締役(取締役会)において、株主総会への報告事項と決議事項を決定します。
  2. そのうえで、株主全員に対して、報告事項及び決議事項を添えた提案書を送付します。なお、現代の実際の運用では、この提案書に株主の同意書面も添えてメールで通知することが多いと思います(もちろん、ハガキでの運用もあります)。
  3. そして、会社が株主全員から同意書面もしくはメールでの回答を受け取った段階で、株主総会決議があったものとみなされます。つまり、書面決議の成立日は、最後の株主からの同意書面を受け取った日ということになります。

なお、株主総会の決議を書面決議で行った場合であっても、株主総会議事録は作成しなくてはなりませんのでご注意ください。会社関係の登記をする際に必要となります。

以上が、書面決議の概要と手順となりますが、中小企業では非常に使い勝手が良いので、積極的に活用してみてください。


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