高瀬総合法律事務所

#30
2025,02,28

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

没収の世界

冬の終わりの寒波が厳しい中、皆様お元気でお過ごしでしょうか。
何の脈絡もなく、本日は没収についてのお話をします。

刑事裁判での「没収」は、懲役や罰金などのメインの刑にオマケのように付け足される刑です。
凶器、偽造文書、違法薬物、金銭など、犯罪に使われた物や犯罪によって得られた物などが没収の対象になるのですが、関係者の関心はメインの刑の重さに集中しているため、オマケの没収など正直どうでもいいこととしてスルーされがちです。
しかし、過去の判決を見渡すと、意外にじわじわと面白い物が没収の憂き目を見ていることが分かります。
そんな没収の世界を、少しだけ覗いてみましょう。

まずは、密輸品・密猟品シリーズ。
時代を感じさせるのは「進駐軍ボロ作業着(上178着・下129着)」。裁判官からストレートにボロ呼ばわりされるほどのボロだったのでしょう。捨てればいいのに。
カモシカ毛皮製しり当て41枚」「牛皮塩漬18枚」なんてものもあります。密猟、ダメ、ゼッタイ。
保管中に傷んでしまうナマモノはお金に換えられてしまうため、「毛がに1425匹(約491キログラム)の換価代金115万1707円」などという形で没収されることもあります。1匹ずつ数えた当局の苦労がしのばれますね。

次に、なぜそれを没収した?と不思議に思う物シリーズです。
例えば「杉丸太1本」。城攻めの破城槌にでも使ったのかと思いきや、馬車の荷台に積まれて転がり落ちて通行人にケガをさせた物だそうです。
聴診器1個」は、ニセ医者が医者を装う際に着用していた物とのこと。当局は小道具にも容赦しません。
グミ1袋及びきのこ1袋」は、一見可愛いおやつのようですが、麻薬成分が含まれていたのでアウトでした。
チャッカマン1個」は放火の道具に使われた物ですが、裁判官が大真面目にチャッカマンと言っていること自体がちょっと愉快です。ちなみに一般名称は「点火棒」です。
ぱっと見は害がなさそうな「湯呑茶椀及びお椀」は、実は青酸カリを溶かして殺害に使用した器でした。「馬の置物1個」も撲殺の凶器です。背後に潜むエピソードが怖いですね。

さて、いかがでしたか。陽の当たらない没収界隈に、少しだけ興味をお持ちいただけたら嬉しいです。

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会社経営と株式
株式について最低限押さえて欲しいポイント
~株主総会決議取消~

今回は、裁量棄却のポイントについてお話しします。

裁量棄却が認められるかどうかは、以下のポイントを総合的に考慮されます。

瑕疵の重大性

  • 違反の内容が軽微かどうか
  • 違反が定款や法令のどの部分に触れているか

決議への影響

  • 違反が議決結果に影響を与えていないかどうか
  • 違反がなければ、議決結果は異なっていた可能性があるかどうか

その他の事情

  • 違反が故意によるものか過失によるものか
  • 違反を招いた経緯
  • 違反を放置することによる弊害

中小企業でよくある裁量棄却の例

中小企業では、以下のようなケースで裁量棄却が認められる可能性があります。

  • 招集通知の一部株主に行届いていなかったが、当日の総会には全員が出席し、全員が議決権を行使した
  • 議長が誤って議決権数を数え間違えたが、結論に影響がなかった
  • 招集場所が定款に定められている場所とは異なっていたが、株主全員が招集場所を知っており、異議もなかった

まとめ

株主総会決議の取消は、中小企業にとっても有効な制度ですが、裁量棄却の可能性も理解しておくことが重要です。
もし、自社の株主総会で問題が発生した場合は、弁護士に相談し、裁量棄却の可能性も含めて、適切な対処方法を検討しましょう。


●もっと詳しく「株主総会」のページはコチラから
●もっと詳しく「定時株主総会と臨時株主総会の違い」はコチラから
●もっと詳しく「企業法務コラム - 臨時株主総会の招集要件についての完全ガイド」はコチラから
●コラム:「株主総会はなぜするのか?株主総会をする理由。株主総会運営基礎編」はコチラから

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