高瀬総合法律事務所

#34
2025,06,27

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

たけのこも。

筆者が個人的に許せない行為として、いわゆる「交ぜ書き」があります。覚醒剤を「覚せい剤」、漏洩を「漏えい」、改竄を「改ざん」と書いたりする、とてもマヌケな美しくない字面を発生させる行為です。
常用漢字の範囲をはみ出しているから、というお役所的な事情によるものなのですが、他方で「コンピュータ」「データ」で済むものを頑なに「電子計算機」「電磁的記録」とレトロに呼び続けているのですから、よく分からない業界です。
そんなことを考えながらちょっと調べてみた、裁判所が判決文で繰り出す難読漢字シリーズです。

まず、今でもよく使われる「縷々」。読み方は「るる」で、ひらがなで書くと突然ファンシー又はファーマシーになります。「被告は縷々述べるが…」などという形で使われ、ニュアンスとしては「いちいち引用するにも値しないことをグダグダと」といった感じでしょうか。
これと紛らわしい系列に属するものとして、「屡々(しばしば)」があります。

次に、食品と取り違えがちなものとして「苟も」。「たけのこ(筍)も」と読んではならず、「いやしくも」が正解です。これを間違えた人は、思想家の「荀子」も「たけのこ」と読んでいるおそれがあります。
但し、裁判例上(多分)一度だけ、「たけのこも」が正解だったことがあります。これは、「筍も全く生えない程竹林は全滅し、狂い死にする馬や流産する馬も出たという。」(宮崎地裁延岡支部・昭和59年3月28日判決)という特異な文脈だったためです。
同じ系列に属するものとしては、「恰も(あたかも)」があります。これも、「はまぐり(蛤)も」は誤り。

なお、裁判所のせいではないですが、法学部の学生が誤りがちなトップ3(主観)としては、
①「相殺(そうさい)」を「そうさつ」又は「あいさつ」と読む
②「牽連犯(けんれんはん)」を「索連犯(さくれんぱん)」と誤記する
③「囲繞地(いにょうち)」の真ん中の字が思い出せず、「囲にょう地」と開き直る、又は「囲縄地」「囲暁地」などの似た雰囲気の字で押し切る
が挙げられます。

契約書レビュー・作成・契約トラブル 契約書に強い弁護士をお探しなら
取引先との契約書作成全く追いつかない そんな時こそ、顧問弁護士の出番です


会社経営と法律
~競業避止義務~

今回も、中小企業の経営者が知っておくべき、従業員の競業避止義務についてお話しします。
前回の復習ですが、競業避止義務とは、簡単に言うと、従業員が会社を辞めた後、一定期間、会社と競合するような仕事をしてはいけないというルールのことです。これは、会社が長年かけて培ってきたノウハウや顧客関係などを、従業員が別の会社で不正に利用することを防ぐためのものです。
中小企業にとって、人材は最も重要な資産の一つです。従業員は、会社のノウハウや顧客情報を身につけることで、会社に貢献しています。しかし、その知識や経験が、別の会社で利用されることで、会社の競争力が低下してしまう可能性があります。競業避止義務は、このようなリスクを軽減するための重要な手段なのです。

もっとも、従業員は取締役と違い、当然に競業避止義務を負うわけではありません。
そこで、就業中はもちろんのこと、退職後については誓約書を取らなければ、競業避止義務を負わせることはできません

次回は従業員の競業避止義務について注意すべきポイントをお話しします。


●その他の「競業避止義務」についての事例(1)
●その他の「競業避止義務」についての事例(2)

発行:弁護士法人 高瀬総合法律事務所
KANAGAWA OFFICE
〒252-0143
神奈川県相模原市緑区橋本6-5-10 中屋第2ビル2-E
TEL:042-770-8611
URL:https://takase-law.com/

YOKOHAMA OFFICE
〒222-0033
神奈川県横浜市港北区新横浜3-19-11 加瀬ビル88
TEL:045-624-8677

TOKYO OFFICE
〒160-0023
東京都新宿区西新宿1-20-3 西新宿高木ビル 8階
TEL:03-3344-6155
URL:https://takase-law.tokyo/

電話受付は平日9:00~18:00

配信の停止をご希望の方はお手数ですが
配信停止フォームより配信停止手続きをお願いします。

弁護士法人 高瀬総合法律事務所