高瀬総合法律事務所

#36
2025,08,28

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

お酒と地域ブランド

地域ブランドと聞くと、どのようなものを思いつかれるでしょうか。
松坂牛とか夕張メロン・・・色々ありますね。
しかし、その地域ブランドをどうやって守るのかといった法的な仕組みについてはあまり知られていないように思います。
今回は、筆者が好きなお酒をテーマに少しお話してみたいと思います。

お酒というと、ビール、ウイスキー、ワインなどいろいろなものがありますが、実はこれらについてはその製法が法律等で定められていることが多々あります。製法を法律等で定めることで、そのブランド価値を守るというわけです。

例えば、筆者がこよなく愛するバーボンですが、バーボンと名乗るためには、連邦アルコール法をはじめとした法律等により、下記の製法条件を全て満たさなければならないとされているようです。

  • 穀物を原料に190プルーフ(アルコール度数95%)以下で蒸留し、オーク樽で熟成(コーンウイスキーは必要なし)、80プルーフ(アルコール度数40%)以上でボトリング
  • 原料にトウモロコシを51%以上使用
  • アルコール度数160プルーフ(アルコール度数80%)以下で蒸留
  • 内側を焦がしたホワイトオークの新樽に最低2年以上熟成

では、日本が誇るお酒である日本酒はどうなっているでしょうか。
実は、ちゃんと日本の法律で製法が決まっています。
日本酒は、法律上の区分としては「清酒」となりますが、「清酒」というには、基本的には、「米、米こうじ及び水を原料として発酵させてこしたもので、アルコール分が22度未満」という製法条件を満たす必要があります(酒税法第3条第7号)。
そして、「清酒」のうち、以下の製法条件を全てクリアしたものだけが、「日本酒」と名乗ることを許されます(酒類業組合法、酒類の地理的表示に関する表示基準参考)。

  • 原料の米に日本産米を使っていること
  • 日本国内で醸造したもの

つまり、海外産の米を使ったり、日本産の米を使いながらも海外で醸造されたものは、「清酒」であっても「日本酒」ではないのです。
そして、EUは、日EU・EPAによって、上記の製法を満たす「清酒」のみが「日本酒」という名称を使えるように保護しています。
なので、もし、ヨーロッパに海外旅行に行った際、レストランで何か日本のものが恋しくなったら、ドリンクメニューをみて、「日本酒」を探せばまず間違いがないということになりますね。

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会社経営と法律
~海外企業との取引契約書チェックにおける弁護士の視点~

中小企業の皆様が海外企業との取引を始める際、契約書の作成・チェックは非常に重要なステップです。
しかし、言語の壁や文化の違い、複雑な法制度など、多くの課題が考えられます。
今回は、弁護士の視点から、海外取引契約書をチェックする際に特に注意すべき点について解説します。

1. 翻訳

最も大きな課題の一つが翻訳です。
契約書は、法的専門用語が多いため、中国語やスペイン語などは勿論のこと、広く公用語として使われている英語ですら、微妙なニュアンスの違いが契約内容を大きく変えてしまうことがあります。
たとえば、日本語の「善意」と英米法の"good faith"は、厳密には異なる概念です。
また、文脈によって意味が変わることもあるため、単なる直訳では不十分なケースがほとんどです。

そのため、ビジネスや法律に精通した専門家に翻訳を依頼することが極めて重要です。
契約書の翻訳は、単なる言語能力だけでなく、法務知識が求められる専門分野です。安価な自動翻訳ツールや、専門知識を持たない翻訳者では、微妙なニュアンスの違いを見落とし、それが後々の重大なトラブルにつながる可能性があります。
契約書の翻訳は、単なるコストではなく、将来のリスクを回避するための投資だと考えましょう。

次回以降も海外企業との契約書チェックに関するポイントを見ていきます。


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