高瀬総合法律事務所

#37
2025,09,26

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

Ad Astra

酷暑がようやく過ぎ、もうすぐ中秋の名月ですね。

中国では、中秋節の日に家族で月餅を食べたり、仕事でお付き合いのあるひとや友人に月餅を贈ったりする習慣があるため、企業が福利厚生の一環として従業員に月餅を支給することもあるそうです。

しかし、2011年に税法が改正され、現物支給される月餅も所得だから所得税を課すという血も涙もない取り扱いになってしまったことから、ブチ切れた中国の方々が、それなら月餅など食わぬ!と不買運動を起こすに至りました。気持ちはわかります。

ところで、今から数年前、宇宙で行われた初の犯罪ではないかと耳目を集めた事件をご存じでしょうか。

これは、宇宙滞在中のアメリカ人女性宇宙飛行士(陸軍中佐)Mさんが、離婚係争中の同性パートナーWさん(元空軍諜報員)の銀行口座に、国際宇宙ステーションから不正アクセスしたという嫌疑をかけられた事件です。

こういった事件に関しては、「国際宇宙基地協力協定」に基づき宇宙飛行士の母国が刑事裁判権を持つことになるのですが、もはやそんなことはどうでもいいと言いたくなるほど戦闘力の高い当事者です。武力で決着をつけずに法廷闘争を選んだことをまずは称えるべきでしょう。

本件では、Mさんが宇宙からWさんの口座にアクセスしたこと自体は事実であり、ご本人曰く「息子のために十分な残高があるか確認したかった」という、成層圏を超える母の愛が動機であったようです。

ただ、後日これが濡れ衣であったこと、つまり不正なアクセスではなかったことが判明し、今度はWさんが虚偽告訴の罪で訴追されるという、一編の映画のような経過をたどった事件でした。

宇宙にもネットにも疎い筆者は、「宇宙でもネットできるんだ…」という小学生以下の感想しか浮かびませんが、ともあれ、宇宙の平和のため、宇宙犯罪第一号が起きてしまう日が遠いことを祈るばかりです。

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会社経営と法律
~「海外企業との取引契約書チェックにおける弁護士の視点2」~

前回から引き続き、海外企業との取引契約書チェックポイントをお話しします。

2. 準拠法と紛争解決:自社を守るためのルール設定

契約書に準拠法(どの国の法律に基づいて契約が解釈されるか)と紛争解決方法(裁判所の管轄や仲裁など)を明記することは極めて重要です。準拠法が相手国の法律になっていた場合、予期せぬリスクを負う可能性があります。たとえば、相手国の法律では契約の解除や損害賠償の考え方が日本と大きく異なる場合があるため、自社にとって不利な判断が下されるリスクを負うことになります。

したがって、日本企業にとって最も有利なのは、日本の法律を準拠法とし、日本の裁判所を管轄と定めることです。相手方企業がこれに難色を示す場合は、シンガポールやロンドンなどの第三国での仲裁も選択肢となります。仲裁は非公開で行われるため、企業秘密を守りやすいというメリットがあります。どのような紛争解決方法を選択するかは、コスト、時間、機密性などを総合的に考慮して決定する必要があります。

次回もポイントの続きをお話しします。


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