高瀬総合法律事務所

#33
2025,05,28

  
読んでいるだけでちょっと面白い法律

続・八咫の鏡

2ヵ月ほど前、裁判官のバッジは三種の神器である八咫の鏡がモチーフとなっており、かっこよくて羨ましいというお話をしました。
筆者は、法律の世界と八咫の鏡の接点なんてこのバッジくらいだろうと思っていたのですが、実は今から60年ほど前、八咫の鏡の所有権を確認する裁判なるものが行われていたのです(岡山地方裁判所津山支部・昭和40年1月19日判決)。

裁判において、ある物の所有権が自分にあると確認してもらうためには、原則として、どのようにしてその物を手に入れたかという来歴を主張立証する必要があります。例えば、「Aさんから売ってもらった」とか「Bから相続した」とか「時効によって取得した」とかですね。
この裁判は、「鏡をもらったらしき人の子孫らしき人」(原告)vs「最近鏡を発掘した人・鏡の奉納を受けた神社」(被告ら)という構図であったため、原告は、先祖が鏡をもらったところから話を始める必要がありました。
では、どこまで遡って「八咫の鏡」の来歴が主張されたかといいますと、なんと元禄10年(1697年)、江戸幕府の第5代将軍綱吉の時代です。
原告の主張は、「後亀山上皇以後のいわゆる後の南朝の第9代高仁親王は、元禄10年、徳川幕府の圧迫による暗殺の難を避けるため当時の御所美作植月の宮を去るにあたり、その所有の別紙目録記載の本件物件を、近侍の妹尾四郎衛門兼玄に贈与した。」で始まっています。
この「別紙目録記載の本件物件」というのが「八咫の鏡」のことですが、歴史書か?と思うレベルの遡り方です。原告代理人の弁護士は、ちょっとうきうきしながら訴状を書いていた可能性が高いと思われます。
そして、裁判所もこのノリに付き合い、「仮に、原告主張のように本件物件が原告のいわゆる後の南朝なるものの高仁親王なる人物の所有していたものであり、それが右の史書にいう八咫の鏡であるとすれば、それを埋めた社の祭神が特に安徳天皇と伝えられているのは不合理であろう。」などと、普通の判決文ではまずお目にかからないような理由を持ち出しています。

この裁判の結論は、一言で雑にまとめると「昔の話すぎて証拠がない」ということで原告が負けてしまったのですが、地元住民や岡山県・山口県の知事まで巻き込んで何年も続いた、日本史界隈からすると非常に興味深い裁判であったようです。
いつか自分もこのような事件に当たってみたい、と思う筆者でした。

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会社経営と法律
~競業避止義務~

今回は取締役の競業避止義務の範囲の問題についてお話しします。
取締役はどんな事業も行ってはならないのでしょうか。このことを、競業避止義務の範囲の問題といいます。一般的には、競業とは、同一または類似の事業のことをいいます。たとえば、メーカーと加工では同一にも類似にもあたりませんが、加工同士であれば全く同一の部品でなくとも「類似」として競業避止義務の対象になる場合があります。
また、事業だけでなく、会社で得た技術情報、顧客リスト、ノウハウなど、あらゆる情報を不正利用することも禁止されます。
そして、競業避止義務は原則として取締役在任中だけですが、例外的に、退任後も、会社で得た情報を利用して競業することは禁止されることがあります。

このように、 競業避止義務の具体的な内容は、会社の状況や契約内容によって異なります。また、取締役が退任した後も競業避止義務が適用されるかについては、会社との契約内容や事案によって、一定期間競業避止義務が適用されるかどうかが変わりますし、万が一、競業避止義務違反により会社が損害を被った場合、その損害額を証明することが困難な場合もあります。

そのため、競業避止義務に関する問題が生じた場合は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。


●その他の「競業避止義務」についての事例(1)
●その他の「競業避止義務」についての事例(2)

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