
サブリース契約の“30年一括借上げ”は本当に安心か? ─ 長期契約に潜むリスクと裁判例から学ぶ注意点
2025年4月28日
「30年一括借上げ」で毎月安定収入──。不動産オーナーにとって魅力的に映るサブリース契約ですが、果たしてその契約内容は“安心”と言い切れるのでしょうか?
本記事では、サブリース契約の解約や更新拒絶に関する近時の裁判例をもとに、定期借家契約との違いや、オーナー側のリスクについて法的観点から解説します。不動産を活用した資産形成を検討している方、すでにサブリース契約を結んでいるオーナーの方にとって、弁護士に相談する前の判断材料となる内容です。
サブリース契約とは?──仕組みと“一括借り上げ”の実態

サブリース契約は、不動産オーナーが所有物件を不動産会社(サブリース会社)に貸し出し、その会社がさらに第三者に転貸するという仕組みです。契約期間中、空室の有無にかかわらず一定の賃料収入が見込める「一括借り上げ(サブリース)」は、一見して安定収入を保証してくれる仕組みに見えます。
しかし、「30年一括借上げ」という文言は、必ずしも30年間オーナーが希望する条件で契約が続くことを意味しません。多くのサブリース契約では、数年ごとに契約更新や賃料見直しが盛り込まれており、オーナーにとって不利となる契約条項が存在するケースも少なくありません。
定期借家契約との違い:契約解除のハードル

通常の賃貸契約と異なり、定期借家契約では契約期間満了時に更新のないことが原則とされます。しかしサブリース契約では、契約解除や更新拒絶が問題となるケースが増加しています。特に長期契約では、オーナー側が途中で契約の見直しや解除を求めることが難しく、結果として資産活用の柔軟性を損なうリスクがあります。
解約・更新拒絶に関する近時の裁判例
▪ 東京地方裁判所 令和5年4月27日判決
本件では、賃貸物件のオーナーがサブリース会社に対して契約更新を拒絶。背景には、自宅購入のための住宅ローン審査があり、既存の物件ローン残債を解消する必要性がありました。裁判所は、オーナーの売却希望が「建物の使用を必要とする事情」に該当する可能性があると認定。一定の立退料支払いを条件に、更新拒絶の正当事由を認めました。
▪ 東京地方裁判所 令和5年12月8日判決
同様に、金融機関からの要請で物件の早期売却を余儀なくされたオーナーが、サブリース契約の更新拒絶を申し入れました。裁判所は、オーナーが売却によって住宅ローン完済を目指す正当性を認め、一定額の立退料支払いを条件に契約終了を認めています。
サブリースの「安心感」は幻想?想定すべきリスクとは

長期一括借上げのサブリース契約には以下のようなリスクが潜んでいます。
- ・賃料見直しによる減額リスク
- ・中途解約や更新拒絶の困難さ
- ・サブリース会社の倒産・契約不履行
- ・物件売却時の障害要因
特に、将来的な売却や資産組み換えを考慮するオーナーにとっては、契約内容が大きな足かせとなる場合があります。
弁護士に相談すべきタイミングと相談時のポイント
現在サブリース契約を検討中、または契約中の方は、以下のような場合に早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
- ・契約更新・解約に関する不安がある
- ・賃料減額の通告を受けた
- ・物件の売却を検討しているが契約がネックになっている
- ・サブリース会社との交渉に不安がある
契約書の内容を法的に精査し、交渉の方針を立てるには、不動産に強い弁護士の支援が有効です。
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