遺産相続での弁護士費用は誰が負担するべきか?
2024年12月18日
遺産相続の手続きは、法的な知識や多くの書類作成が必要となるため、相続人同士の話し合いだけでは解決が難しい場合があります。特に、遺産分割の方法や相続人間の意見の違いからトラブルが発生することも少なくありません。このような場合、弁護士に相談し、専門的なサポートを受けることでスムーズな解決が期待できます。
しかし、弁護士を利用する際に多くの方が疑問に思うのが「弁護士費用は誰が支払うのか?」という点です。遺産相続のために弁護士を依頼した場合、その費用が依頼者個人の負担になるのか、それとも相続財産から捻出できるのかなど、具体的な負担の仕組みについて知りたい方も多いと思われます。
本コラムでは、遺産相続における弁護士費用の基本的な仕組みや負担の考え方、さらに相続人間での費用分担について詳しく解説します。弁護士の活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
弁護士費用の基本構成
弁護士費用は主に以下の項目に分けられます。
- 相談料
初回相談時にかかる費用。 - 着手金
弁護士が正式に業務を開始する際に支払う費用。 - 報酬金
事件解決後、成果に応じて支払う成功報酬。 - 実費
裁判所への手数料や交通費などの実費。
費用負担は原則「依頼者」
弁護士費用は原則として、弁護士に依頼した人(依頼者)が負担します。遺産相続においても、特定の相続人が弁護士を雇った場合、その費用は依頼した相続人自身が支払うのが一般的です。
費用分担が争点となるケース
1. 共同相続人全体の利益を守るための依頼
共同相続人全体の利益を守る形で遺産分割協議を進めた場合、その弁護士費用を相続財産から差し引いて負担することを提案するケースがあります。
弁護士目線のポイント: この場合、弁護士費用が「共同の利益のため」と認められるならば、遺産全体から差し引かれる形で分担することが可能です。しかし、他の相続人全員の同意が必要となります。
2. 個人的な争いの場合
特定の相続人が弁護士を雇って自分の主張を強くするために依頼した場合、その費用は依頼者が単独で負担するのが一般的です。
弁護士目線のポイント: この場合、弁護士は費用負担について依頼者に事前に説明し、他の相続人から費用を回収できる可能性が低いことを明確にしておく必要があります。
費用分担を円滑に進めるためのポイント
- 事前に話し合いをする
共同相続人間で費用負担についてあらかじめ話し合い、合意を取ることが重要です。 - 弁護士からの説明を受ける
弁護士に依頼する際には、費用負担について明確に説明を受け、自分の負担範囲を理解しておきましょう。 - 相続財産からの精算を検討する
遺産分割の過程で弁護士費用を相続財産から支払うことを提案する場合、遺産分割協議書に明記することが必要です。
終わりに
遺産相続における弁護士費用の負担は、誰がどのような目的で弁護士を利用したかによって異なります。依頼前に弁護士費用の構成や分担方法について十分に理解し、共同相続人との間で円滑なコミュニケーションを図ることがトラブル回避の鍵となります。
弁護士を活用することで、遺産相続をスムーズに進めることができますが、費用の負担を明確にすることを忘れないようにしましょう。