
家族信託は便利だけど争いになりやすい?無効を主張されないための判断能力と契約の注意点
2025年9月10日
近年、相続や財産管理の新しい選択肢として家族信託を活用する人が増えています。
しかし、便利な一方で「家族信託 無効」や「家族信託 争い」といったトラブルも実務上は珍しくありません。
特に、契約時の判断能力が争点となるケースは増加傾向にあります。
家族信託とは?便利さと注意点

家族信託は、本人(委託者)が信頼できる家族(受託者)に財産の管理や運用を任せ、将来の承継方法をあらかじめ定める制度です。
認知症による財産凍結の回避や、柔軟な資産承継の実現が可能な点が大きな魅力です。
しかし、契約内容によっては他の相続人に不利となる場合もあり、「不公平だ」「無効だ」といった争いが起こるリスクをはらんでいます。
実際にあった「家族信託 無効」争いの事例

あるご相談者は、義母の生前に家族信託契約を締結し、義母の財産管理を行う代わりに、義母の死後は遺産の大部分を承継するという内容でした。
しかし義母の死後、相続人である義母の兄弟から
「契約は認知症の症状が出てから結ばれたもので無効だ」
と主張され、家族信託契約の有効性を巡る争いが発生。
裁判では契約締結時の判断能力が最大の争点となりましたが、証拠や契約過程の適正性が認められ、契約は有効と判断されました。
家族信託が争いになりやすい3つの理由

- 判断能力の欠如を主張されやすい
認知症や高齢による判断能力の低下が疑われると、無効主張が出やすくなります。 - 特定の相続人に有利な契約
他の相続人の遺留分や感情面での不満を引き起こします。 - 制度の新しさによる判例不足
裁判での判断が安定しておらず、争いが長期化することもあります。
家族信託の争いを予防するためのポイント

- 判断能力が十分なうちに契約する
医師の診断書や意思確認記録を残すことが有効です。 - 契約過程の証拠化
面談の録音・録画、専門家の同席で説明過程を明確化します。 - 相続人への事前説明
契約の趣旨を共有し、後の感情的対立を減らします。 - 専門家による契約書作成
形式的な有効性だけでなく、将来の紛争リスクを踏まえた設計が可能です。
弁護士からのアドバイス

家族信託 無効や家族信託 争いは、多くの場合「契約時の判断能力」を巡って起こります。
争いを避けるためには、契約準備段階から弁護士などの専門家が関与し、証拠と説明の両面で「争いに強い契約」を作ることが重要です。
髙瀬総合法律事務所では、契約設計から有効性の確保、相続人間のトラブル予防まで、家族信託のあらゆる段階をサポートしています。
「家族信託を検討したいが争いが不安」という方は、ぜひ早めにご相談ください。