
役員・従業員が逮捕・起訴された場合の企業対応
2026年5月7日
初動対応とリスクコントロールのポイント
企業活動において、役員や従業員が逮捕・起訴される事態は、決して他人事ではありません。特に近年は、SNSや報道による情報拡散のスピードが速く、企業の信用毀損リスクは一層高まっています。
こうした事態に直面した場合、感情的な対応や場当たり的な判断は、企業にさらなる損害をもたらしかねません。本コラムでは、企業が取るべき対応について、時系列に沿って整理します。
1. 初動対応がすべてを左右する

逮捕の情報が入った段階で最も重要なのは、「事実確認」と「情報統制」です。
事実関係の確認
- 逮捕された事実の有無
- 容疑内容(業務関連か私的行為か)
- 勤務状況・職位(役員か一般社員か)
この段階では、憶測で判断せず、警察・本人家族・弁護士などから慎重に情報収集を行う必要があります。
社内外への情報管理
- 社内への共有範囲の限定
- SNS・外部への発信禁止の徹底
- 取引先からの問い合わせ窓口の一本化
不用意な発言が、企業の責任問題や reputational risk(信用毀損)につながるため、広報対応は特に慎重に行う必要があります。
2. 就業規則に基づく対応(出勤停止・懲戒)

逮捕=即解雇ではありません。
企業としては、就業規則に基づき、段階的に対応することが重要です。
一般的な対応フロー
- 自宅待機・出勤停止命令
- 事実関係の調査
- 懲戒処分の検討
■ 注意点
- 「無罪推定の原則」があるため、起訴前の解雇は慎重判断
- 私的犯罪か業務関連かで処分の重さは大きく異なる
- 懲戒処分には「相当性」が求められる
特に、業務と無関係な私生活上の犯罪の場合、解雇が無効とされるリスクもあるため注意が必要です。
3. 役員の場合の特殊性

役員(取締役など)の場合は、従業員とは異なり、会社法上の問題も絡みます。
対応ポイント
- 取締役会による解任の検討
- 株主総会での正式な解任手続
- 代表権の停止(必要に応じて)
役員は「委任契約」に基づく立場であるため、懲戒解雇ではなく、解任という形になります。また、不当な解任と評価されると損害賠償リスクもあるため、慎重な判断が必要です。
4. 対外対応(取引先・顧客・メディア)

企業価値への影響を最小限に抑えるためには、外部対応も極めて重要です。
■ 基本方針
- 事実ベースで簡潔に説明
- 憶測・感情的表現は避ける
- 再発防止策を併せて提示
■ よくある対応例
- 「現在事実関係を確認中」
- 「当社として厳正に対処する方針」
- 「関係者にご迷惑をおかけしたことをお詫び」
過剰な情報開示も問題ですが、隠蔽と受け取られる対応もリスクです。バランスが重要です。
5. 刑事手続の進行に応じた対応

逮捕後は、以下の流れで進みます。
- 勾留(最大20日程度)
- 起訴 or 不起訴
- 裁判
起訴された場合
起訴は「有罪の可能性が高い」と判断された状態です。
この段階では、
- 懲戒解雇の検討
- 役員解任の実行
- 社内処分の確定
など、より踏み込んだ対応が求められます。
6. 企業として最も重要なのは「再発防止」

単なる個人の問題で終わらせず、組織としての改善が必要です。
実施すべき対策
- ✅ コンプライアンス研修の実施
- ✅ 内部通報制度の整備
- ✅ ガバナンス体制の見直し
特に、業務関連の不祥事の場合は、企業責任が問われる可能性もあります。
まとめ
役員・従業員の逮捕・起訴は、企業にとって重大なリスクですが、適切な初動対応と法的整理により、被害を最小限に抑えることが可能です。
- ☑️初動は「事実確認」と「情報統制」
- ☑️処分は就業規則・会社法に基づき慎重に
- ☑️外部対応は信用維持の観点から戦略的に
- ☑️再発防止まで含めて対応することが重要
役員・従業員が逮捕・起訴された際は弁護士への相談をおすすめします

逮捕・起訴事案では、労務問題・会社法・刑事対応・広報リスクが複雑に絡み合います。判断を誤ると、企業側が訴訟リスクを負う可能性もあります。
企業の事情に精通した弁護士であれば、初動対応から処分判断、対外発信まで一貫してサポートが可能です。
早期の段階で専門家へご相談いただくことで、最短・最適な解決につながります。まずはお気軽にご相談ください。

