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事業承継とは?中小企業における事業承継の基礎知識と注意点

事業承継とは、会社の

  • ■ 経営権
  • ■ 資産
  • ■ 知的財産

を後継者に引き継ぐことです。本コラムでは、経営権、資産、知的財産を引き継ぐとはどういうことなのか、引き継ぐ際の注意点などを解説します。

経営権を後継者に引き継ぐってどういうこと?

「会社の経営権」とは、会社の社長や取締役会など会社の意思決定や業務遂行権の事を指しますが、中小企業において「経営権を移行」することは、=「株式の移行」であると言う方がシンプルで分かりやすいかもしれません。 株式会社を始めとする法人では、株式割合を多く占めている株主が経営に関する意思決定を行うことができますが、中小企業では、社長や同族が全株式を保有している事が多く、株主=社長という図式が当てはまるためです。中小企業における「経営権の移行」は、=「株式の移行」とイメージしておくと良いでしょう。

資産の引き継ぎ。気をつけることとは?

経営権(全株式)の移行により、会社が所有する土地や建物などの不動産も後継者が資産として相続することになります。 しかし気をつけないといけないのが、「会社を運営するために必要な不動産が全て会社所有のものかどうか?」という点です。中小企業では、会社代表者が個人的に所有する土地や建物を会社が借りる形で事業を営んでいる例も少なくありません。 従って、経営権(全株式)を相続するだけでは会社経営を安定して行うことにならない場合もあるのです。仮に、会社の敷地や事業所である建物を他の相続人が相続した場合、会社に対して譲渡を求めるという事態も起きかねません。 そのため、引き継ぐ会社をそれまで通り安定して経営していくためには、会社の敷地や事業所が会社所有でない場合、株式とは別に、所有者から相続をする必要があります。

知的財産ってどんなものが含まれるの?

経営者(株式)や資産と共に、事業承継で引き継がれる知的財産。知的財産とは具体的には以下のようなものが当てはまります。

  • ■ 著作権
  • ■ 特許権
  • ■ 商標権
  • ■ 意匠権(デザイン)
  • ■ 営業秘密

資産の引き継ぎ同様、知的財産の引き継ぎも、会社の知的財産を前任の会社代表が個人的に所有し、会社がそれを借りる形で運用・活用していた場合は個人所有の知的財産も引き継ぐ必要があります。また、知的財産にはこの他にも会社経営のノウハウや経営理念、会社内外の対人関係等、経営者にしかできない経験なども含まれます。 それらも含め全てを引き継ぐことを事業承継といいますが、実は一番難しいのがこの「社長の知的財産」の承継です。次の世代に引き継ぐことを予定している中小企業の多くは、引き継ぐ年度を見越して数年前から後継者と目される人を育成し、社長の知的財産を引き継いでいきます。一般的に、経営者としての知的財産の引き継ぎには5〜10年かかると言われています。

事業承継を成功させるには?

事業承継はここまで述べてきたように、経営権や資産、知的財産といったプラスとなるものだけを引き継ぐ訳ではありません。事業承継をする時点で会社が借金を抱えていれば、その借金も承継するということになります。そして会社の借金について社長自身が連帯保証していれば、社長から相続をする際、この連帯保証している部分も基本的には相続することになります。マイナス面も含めた資金計画や、それまでの経営理念を理解し、会社を継続して行く力のある後継者を見つけ、育成して行くことが事業承継の最初の課題と言えるでしょう。また、事業承継時のトラブルや面倒を出来るだけ回避するためには、法律や税金、後継者の育成のノウハウを持った専門家のアドバイスが必要となる場面が多く存在します。 事業承継の際は、顧問弁護士を付けることも選択肢のひとつとして、ぜひ検討してみてください。

このコラムを書いた人

高瀬芳明

高瀬芳明

略歴

  • 私立早稲田実業高校卒業、 東京大学 農学部卒業
  • 平成18年9月 司法研修所卒業・弁護士登録 横浜市内の法律事務所に入所し企業法務,不動産問題を主に取り扱う
  • 平成19年5月 破産管財人就任
  • 平成21年10月 相模原中央総合法律事務所設立
  • 平成25年6月 弁護士法人高瀬総合法律事務所設立