
「中小受託取引適正化法」と「下請法」は同じ?その違いとは?
2025年8月26日
結論:法律名変更、対応範囲・義務・罰則の拡充
以前からある「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」は、主に親事業者が下請事業者に不公正な取引を強いることを防ぎ、中小企業の利益を守るための法律です。
令和7年に改正され、2026年1月からは「中小受託取引適正化法(取適法)」と名称を変更して施行されます。
内容としては、下請法の重点を引き継ぎつつ、対象範囲や義務内容を拡充し、より現実的な中小企業支援の仕組みに刷新されたものです。
参考サイト
主な違い・改正ポイント
- 法律名と用語の変更
「親事業者」「下請事業者」などの用語をやわらげ、「委託事業者」「中小受託事業者」などに変更します。 - 対象範囲の拡大
資本金や従業員数の基準が見直され、新たに「運送委託」なども規制対象に加えられました。 - 価格協議の義務化
受託事業者から価格交渉の依頼があった場合、委託事業者には誠実に協議する義務が課されました。
資料:https://www.meti.go.jp/policy/kyoso_seisaku/20250625_shitaukekaisei.pdf - 禁止行為の強化と罰則拡充
・支払遅延や不当な減額、返品・買いたたきなどの行為は引き続き禁止され、新たに手形払いの禁止なども明記されます。
・公正取引委員会による勧告権、企業名公表、罰金刑などの措置も強化されています。
下請法と中小受託取引適正化法の違い早見表
項目 | 下請法(旧法) | 中小受託取引適正化法(新法) |
---|---|---|
法律名 | 下請代金支払遅延等防止法(通称: 下請法) | 中小受託取引適正化法(取適法) |
用語 | 親事業者/下請事業者 | 委託事業者/中小受託事業者 |
規制対象 | 製造・修理・情報成果物・役務提供委託 | 左記に加え運送委託、従業員基準導入 |
主要義務 | 書面交付/支払遅延・減額・返品の禁止 | 価格協議義務の追加、手形禁⽌など |
執行・制裁 | 公正取引委員会による勧告、罰則あり | 同様ながら勧告・公表範囲などが拡大 |
「下請法」から「取適法」への切り替え時にやるべきこと
どちらも中小企業の公正な取引を守るための法律であり、2026年1月以降は「取適法」が正式名称となります。親事業者としては、発注書や契約書の見直しや価格決定プロセスの明確化、社内ルールの再構築を進めることが求められます。特に価格交渉が発生する場合には、そのやり取りを記録に残し、支払い期限を遵守するなど、違反リスクを避けるための準備が不可欠です。