
近隣の違法建築物からの被害!どう対応すべき?
2025年8月21日
確認申請ってそもそも何?

建物を新築・増改築する際には、建築基準法に基づく「建築確認申請」が必要です。
これは、建物が安全基準や都市計画に適合しているか、役所や指定確認検査機関が事前にチェックする制度です。
確認申請を経ずに建築した場合、「違法建築物」となり、行政指導や是正命令の対象になります。
違法建築から生じる典型的な被害

- ■日照権の侵害
本来の高さ制限を超えた建物で日当たりが大きく減少。 - ■排水・雨漏り被害
無許可で隣地ギリギリに建築し、雨樋や排水管の水が流れ込む。 - ■煙害
違法に設置された排気設備や煙突から、隣地や道路へ煙が流れ込み、健康被害や悪臭トラブルを引き起こす。 - ■火災リスク
防火規制を無視した建材・構造、隣接距離の不足などにより、延焼しやすく被害が拡大する危険が高い。 - ■安全面のリスク
構造基準を満たさず建てられた結果、台風や地震で崩落の危険が高まる。
被害を受けたらどうすればいい?
- 証拠を確保
写真、動画、日照の変化、被害発生日や状況を記録。 - 役所へ相談
自治体の建築指導課などが確認申請の有無や違法性を調査します。 - 弁護士に相談
行政対応と民事請求(損害賠償や差止請求)は別の話です。
被害の内容によっては、民法上の不法行為として加害者に損害賠償や工事停止を求められます。
弁護士に相談するメリット

- ■違法性の立証をサポート
建築基準法・都市計画法・民法の観点から、違反を裏付ける証拠整理を行うことができます。 - ■差止請求・損害賠償請求の可能性判断
日照権、通風権、安全性など、過去の判例を踏まえた戦略を提案することができます。 - ■交渉・訴訟の代理
直接相手とやりとりせず、感情的対立を避けながら解決へ進めることができます。 - ■時効管理・証拠保全
損害賠償には請求できる期限があり、時間が経つと被害の写真や資料も失われます。弁護士は期限を正確に把握し、必要な手続きを期限内に行うとともに、証拠を早期に法的に有効な形で確保して裁判でも使える状態で保存します。これにより、請求の機会を逃さず確実な立証が可能になります。
近隣の違法建築物の判例

日照権侵害の判例 最高裁 昭和47年6月27日判決
隣接建物の無届増築により被害者の日照・通風が著しく阻害され、不法行為が認められました。この事例は、日照権侵害が民法709条に基づく不法行為責任に当たると認めたもので、後の多くの裁判で引用される重要な判例です。これにより、慰謝料請求や工事差止請求が可能となる法的根拠が明確化されました。
国立国会図書館 知っておきたい基本判例 第9回日照阻害
まとめ
確認申請を経ずに建てられた建物は、法的には危険な存在です。
違法建築によるトラブルは、放置すると深刻化します。
そして違法建築が原因で生活や財産に被害が及んだ場合、行政だけでは十分な救済が得られないこともあります。
違法建築による日照阻害、雨漏り、排水トラブル、煙害や火災リスクなどは、民法上の不法行為として損害賠償や工事差止請求が認められる場合があります。弁護士は、被害状況の確認から証拠の確保、請求の可否判断、交渉・訴訟の代理まで一貫してサポートします。

「おかしいな?」と思ったら、早めに弁護士に相談を。
法的な証拠の集め方や、差止・損害賠償の可否を専門家の視点で判断してもらうことで、泣き寝入りを防げます。また、早期対応が立証の成否を分けます。