
残してくれた家に住み続けたい。内縁関係の相続とその備え
2025年11月27日
「籍は入れていなかったけれど、心はずっと一緒だった」
そんな二人にとって、“もしもの時”に直面する現実は、想像していたものとは少し違うかもしれません。
長年連れ添った内縁の妻が亡くなったとき、二人で築いた不動産はどのように扱われるのでしょうか。
内縁関係と相続の基本

法律上、内縁関係は「婚姻」とは認められず、配偶者としての相続権はありません。
そのため、遺言がない場合には、亡くなった方の親・兄弟姉妹などが法定相続人となります。
どれほど深く支え合ってきた関係でも、法的には他人とされてしまうのが現実です。
💡TIPS:内縁の妻・内縁の夫とは?
「内縁の妻」「内縁の夫」とは、婚姻届を出していないものの、夫婦として共同生活を営んでいる関係をいいます。
つまり、事実上の夫婦(事実婚)です。
法律上の婚姻ではないため、
- ・戸籍上は「他人」として扱われる
- ・相続権はない
- ・配偶者控除など、一部の法律上の権利は適用されない
といった制限があります。
ただし、社会的には「夫婦同然」と認められるケースも多く、
健康保険の被扶養者認定や、賃貸契約の同居人として認められるなど、
行政・民間の一部制度では内縁関係が考慮されることもあります。
💬 ポイント
愛情や生活の実態があっても、法律上は「配偶者」ではないというのが現実。
財産や不動産を守るには、遺言書や契約での備えが欠かせません。
共有名義の不動産はどうなる?

たとえば、内縁の妻Aさんと夫Bさんが半分ずつの持分で自宅を購入していた場合は、
Aさんが亡くなると、Aさんの持分(1/2)はAさんの相続人に引き継がれます。
Bさんは引き続き住んでいても、Aさんの家族と共有状態になるため、売却や処分には相手方の同意が必要です。
生前にできる備え
このような不安を防ぐには、生前の法的準備が何より大切です。
- ・遺言書の作成:内縁の相手に自分の持分を遺贈できる
- ・生命保険の活用:残された相手の生活を支える資金を確保
- ・信託契約・死因贈与契約:確実に意思を実現できる手段も
内縁の妻、夫が亡くなり、親族が法定相続人として遺産を主張している場合

相手がすでに亡くなり、親族が法定相続人として遺産を主張している場合は、
以下のようなアプローチが考えられます。
1.協議や調停での話し合い
もし不動産の共有持分を持っている場合(共同購入など)、
相続人と共有状態になります。
その場合は、「今後も住み続けたい」「買い取りたい」などの希望を、地裁の民事調停→共有物分割として交渉や訴訟という形で解決します。
2.立退きを求められた場合の交渉
亡くなった方の名義だけの家だった場合、
原則として法定相続人に所有権が移ります。
ただし、「生前の生活実態」や「長年の同居」などの事情を踏まえ、
一定期間の居住を認めるよう交渉することも可能です。
3.費用負担・改善への貢献がある場合
内縁関係中にリフォーム費用を負担した、生活費を支えていた、
といった事情があれば、不当利得返還請求や持分主張ができる可能性もあります。
大切な人との場所、とあなたを守る為に。
弁護士はまず、現状を丁寧に整理するところから始めます。
不動産の登記簿や名義、持分の割合、生活費や住宅ローンの負担状況、
そして遺言や契約書の有無などを一つひとつ確認し、あなたがどんな法的立場にあるのかを明確にしていきます。
そのうえで、相手方の親族との関係や意向も踏まえながら、
「どうすればあなたと故人の思いが詰まった場所を守れるか」を一緒に考えます。
法の視点だけでなく、心のよりどころとなる家を守るために最善の方法を探す、それが弁護士の役割です。

