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【年末帰省版】年末に親族が集まるなら、相続や終活の話をしてみませんか?

【年末帰省版】年末に親族が集まるなら、相続や終活の話をしてみませんか?

2025年12月23日

まだ早い、縁起でもないと思い先送りにした結果、遺された家族が困ってしまうケースが増えています。

年末年始は、普段なかなか会えない家族や親族が久しぶりに顔を合わせる貴重な機会です。
実はこのタイミング、相続や終活の話をする絶好のチャンスだとご存知でしょうか?

相続の相談を受けていると、毎年1〜2月に急増するのが

「年末に実家に帰ったら、思ったより親が弱っていて…」
「親の口から『そろそろ準備を…』と言われたけど、話を深掘りできなかった」
「親族で集まっても気を遣って話せなかった」

など、相続について聞きたいことが聞けなかった後悔です。 この記事では、
「年末に家族がそろうタイミングで何をどう話すべきか」
「どう切り出せば角が立たないか」を弁護士の立場から丁寧に解説します。

① 相続の「あるある」トラブルの多くは「話さなかった」ことが原因

相続トラブルの相談の中で、もっとも多いあるあるがこちらです。

相続財産の正確な内容を誰も知らない
  • ・実家の土地が親名義なのか共有名義なのか不明
  • ・預金がどの金融機関にいくらあるのか不明
  • ・借金や保証債務など負の遺産があるかどうかが不明

親が亡くなってから、口座をいくつも持っていたこと、実は借金があったことが分かるケースは珍しくありません。

相続人が誰なのかを把握できていない
  • ・父が亡くなってから初めて前妻との間にも子がいると知った
  • ・父が生前に認知した子がいるのを家族が知らなかった
  • ・親の兄弟が存命なのか、どこに住んでいるかを誰も知らない

このような場合は相続人の調査だけでも数ヶ月かかってしまい、相続手続の終了までに大幅な時間を要してしまいます。

親の本音を誰も聞いていなかった
  • ・本当は〇〇に家を継いで欲しいと思っていた
  • ・実は介護をしてくれた△△に多めに遺したいと考えていたい

相続人間で感情的な争いになる原因の多くが、「故人の意向が誰にも共有されていないこと」です。

遺言書があっても内容に疑問が残る
  • ・古い遺言書が見つかった
  • ・何を意図しているのか分からない
  • ・財産の記載が現状と合っていない

遺言書は「作っただけ」で満足してしまう方も多いのが実情です。
さらに遺言書を作成した本人が「分かっている財産」と、実際に「ある」財産(負の財産を含む)に乖離がある場合も少なくありません。

② 年末に相続の話をするのがおすすめな理由

② 年末に相続の話をするのがおすすめな理由

その理由は、家族全員の共通認識が作れるからです。

年末年始は、

  • ・実家に子ども世代が全員集まる
  • ・時間に余裕ができる
  • ・親の様子を客観的に見られる という条件がそろいます。

特におすすめしたいのは、

少しフランクな場で、まずは軽く話題に出すことです。

相続の話はいきなり本題に入ると重くなってしまうため、年末のゆったりした雰囲気は絶好の機会です。

③ 角を立てずに相続・終活の話を切り出すコツ

「友達の家が相続で揉めたらしくてさ…」
「ニュースで相続の特集をしてたよ」

→ まず自分たちの話ではなく、世間話にすることで相手が構えず自然と相続や遺書の話ができるかもしれません。

(2)親の希望を質問形式で聞いてみる

「お父さんは家のこと、どうして欲しいと思ってる?」
「もしもの時、誰に手続きを頼みたい?」

→ 親の意向を確認するようにすると、「自分の考えを聞いてくれた」と受け入れやすくなります。

(3)「専門家に相談する」という提案が最も角が立たない

「細かいこと、分からないことは専門家にも相談してみたら?」
「一回弁護士に相談してみるのも安心だよ」

→ 家族内で揉めないために第三者且つ、専門家を使うという自然な流れになります。
まだ何も起きていないのに弁護士などの「専門家は少し早いのでは?」と感じるかもしれませんが、私たち高瀬総合法律事務所では初回60分無料で懸念されている課題を専門家の立場でアドバイスしてお話しできます。

④ 話し合うべき具体的なテーマ(相続・終活の基本セット)

④ 話し合うべき具体的なテーマ(相続・終活の基本セット)

以下は、年末に家族が集まったときに話しておくと良いポイントです。

・親の希望(家を誰に継いでもらいたいか等)

・介護の希望

・財産の把握(不動産・預貯金・保険)

・借金の有無

・遺言書を作るかどうか(公正証書遺言がおすすめです)

・デジタル財産(ネット銀行、サブスク、SNSなど)

最近はこれらが揉める原因になりがちです。 弁護士として特に強調したいのは、
「財産の把握」 と 「遺言書の作成」
この2点に対して相続人と被相続人ご本人が準備や把握が早いほどトラブルが激減することです。

⑤ 実際にあった「話しておけばよかった」ケース

  • ケース1:仲の良い兄弟が、家の名義で揉めて絶縁
    「親は〇〇に家を継がせるつもりだった」
    → 実際は誰も親の意向を聞いておらず、相続人同士で衝突した結果、関係が悪化してしまった。
  • ケース2:預金が複数銀行に分かれており、手続きに1年もかかった
    帰省中に一言でも聞いておけば、手続きは半分以下で済んだ可能性もあります。
  • ケース3:葬儀費用を誰が負担するかで険悪に
    事前に相談しておけばすぐに決着できた典型例です。

    意外と揉めやすいのが、葬儀費用を誰が負担するのかという点です。
    子どもの立場では「親が負担するものだろう」と考えがちですが、親の側も、生前に亡くなった後の準備をしていなかった場合、葬儀費用について特に決めていないケースは少なくありません。
    その結果、誰が費用を負担するのかが話し合われないまま、相続人同士のトラブルに発展してしまうこともあります。
    事前に相談しておけば、すぐに決着できたはずの典型的なケースと言えるでしょう。

⑥ まとめ:相続・終活の話は「縁起が悪い」より「家族に優しい」

⑥ まとめ:相続・終活の話は「縁起が悪い」より「家族に優しい」

年末に家族が集まるタイミングは、相続や終活の話を自然にかつ落ち着いて始められる絶好の機会です。

  • ・無理に重い話をする必要はない
  • ・まずは気軽な話題から
  • ・希望や意向を聞くだけでも家族の負担が大きく減る
  • ・遺言書や相続準備は早いほど穏やかに進む

弁護士として、相続のご相談者様のお話を聞くと、大半の方が、
「話しておけばよかった、早く準備をしておけばよかった」という後悔が圧倒的に多い印象です。

相続問題は、きちんと準備した家族ほど平穏に終わることが出来ます。

年末の帰省の機会を、どうか大切に活かしてみてください。

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このコラムを書いた人

高瀬芳明

高瀬芳明

略歴

  • 私立早稲田実業高校卒業、 東京大学 農学部卒業
  • 平成18年9月 司法研修所卒業・弁護士登録 横浜市内の法律事務所に入所し企業法務,不動産問題を主に取り扱う
  • 平成19年5月 破産管財人就任
  • 平成21年10月 相模原中央総合法律事務所設立
  • 平成25年6月 弁護士法人高瀬総合法律事務所設立