
共有持分の一人が破産した場合、私の不動産は競売にかけられてしまうのか?
2026年4月23日
「一緒に不動産を持っている相手が自己破産したらしい。私の家はどうなってしまうの?」——そんな不安を抱えて検索されている方も多いのではないでしょうか。
共有名義の不動産は、自分だけの問題では済まないケースがあります。
本コラムでは、共有持分を持つ一人が自己破産した場合に何が起きるのか、そして自分の住まいを守るためにどうすればよいのかを、弁護士目線でわかりやすく解説します。
1.共有名義の不動産とは

(1)共有持分とは何か
不動産の「共有」とは、一つの不動産を複数の人が割合(持分)で所有している状態のことをいいます。たとえば夫婦で半分ずつ出資して購入した自宅、兄弟で相続した実家、共同で購入した投資用物件などが典型例です。
それぞれの所有者は「持分権」という権利を持っており、自分の持分については自由に処分(売却・担保設定など)することが原則として認められています。
(2)共有名義になる主なケース
- ✅ 夫婦・親子でペアローンや連帯債務を組んで購入した自宅
- ✅ 親から不動産を兄弟姉妹で相続した
- ✅ 共同出資で購入した不動産
- ✅ 離婚後も名義変更をしないまま住み続けている
2.共有者の一人が自己破産したら何が起きるのか

(1)破産者の「持分」が破産財団に組み込まれる
自己破産の手続きが開始されると、破産者が持つ財産はすべて「破産財団」として管理されます。共有名義の不動産についても、破産者が持つ「持分」は破産財団に組み込まれ、破産管財人が管理・処分の権限を持つことになります。
ここで重要なのは、破産するのはあくまで「共有者の一人」であり、不動産全体が破産財団になるわけではないという点です。あなたの持分は、原則としてあなた自身のものです。
(2)不動産全体がいきなり競売にかけられるわけではない
共有者の一人が破産したからといって、直ちに不動産全体が競売にかけられるわけではありません。破産管財人が処分できるのは、あくまで破産者の「持分」だけです。
ただし、破産管財人には破産者の持分を売却・換価する権限があるため、その持分が第三者に売却されたり、持分のみを対象とした競売(持分競売)が申し立てられたりする可能性はあります。
(3)「共有物分割請求」が問題になるケース
より深刻なリスクとして、破産管財人や持分を取得した第三者が「共有物分割請求」を起こすケースがあります(民法第256条)。共有物分割請求とは、共有状態を解消するために裁判所に分割を求める手続きです。
裁判所が共有物分割を認めると、不動産全体が競売にかけられ(競売による分割)、売却代金を持分割合に応じて分配するという結果になることがあります。この場合、あなたが現在その不動産に住んでいたとしても、競売によって住まいを失うリスクが生じます。
3.特に注意が必要なケース

(1)住宅ローンが残っている場合
共有名義で住宅ローンを組んでいる場合(ペアローン・連帯債務など)、破産者が負担していたローンの返済が止まると、金融機関が抵当権を実行して不動産全体を競売にかける可能性があります。この場合は、持分競売よりもさらに直接的に住まいを失うリスクがあります。
(2)破産者の持分が見知らぬ第三者に渡った場合
破産管財人が破産者の持分を第三者に売却した場合、その第三者があなたに対して共有物分割請求を起こしてくる可能性があります。不動産投資目的で持分を買い取る業者(いわゆる「持分買取業者」)がこうした行動をとるケースがあり、注意が必要です。
(3)相続で共有になっている場合
親の不動産を兄弟姉妹で相続し共有名義になっているケースで、共有者の一人が破産した場合も同様のリスクがあります。実家に住んでいる方が突然共有物分割請求を受けるというケースも実務上存在します。
4.住まいを守るために取れる対策

(1)破産者の持分を自分で買い取る
最も確実な対策は、破産管財人と交渉して、破産者の持分をあなた自身が買い取ることです。これにより共有状態が解消され、第三者に持分が渡るリスクや共有物分割請求のリスクをなくすことができます。
買取価格は時価が基準になりますが、破産管財人との交渉次第で現実的な金額での取得が可能なケースもあります。早めに弁護士に相談して、交渉の糸口を探ることが重要です。
(2)共有物分割請求に対して「賠償分割」を求める
共有物分割の裁判において、裁判所は競売による分割だけでなく、「価格賠償」(一方が他方の持分を金銭で買い取る方法)を命じることもできます(民法第258条)。あなたがその不動産に居住しているという事情は、価格賠償を求める際の有力な主張材料になります。弁護士を通じて適切に主張することが重要です。
(3)破産手続きの早い段階で動く
破産手続きが開始されてから持分が処分されるまでには一定の時間があります。その間に弁護士を通じて破産管財人と交渉し、持分の買取や任意売却などの解決策を模索することが、住まいを守るうえで非常に重要です。時間が経つほど選択肢が狭まるため、早期の対応が鍵となります。
(4)住宅ローンが残っている場合は金融機関にも相談する
ペアローンや連帯債務でローンが残っている場合は、金融機関にも早めに状況を説明し、返済条件の変更や借り換えなどの対応を相談することが重要です。放置すると競売手続きが進んでしまうリスクがあります。
5.弁護士に依頼するとどう変わるのか

(1)破産管財人との交渉を代行してもらえる
破産管財人はあくまで破産者の債権者への弁済を最大化することが目的です。一般の方が単独で交渉しても、法律の知識がなければ不利な条件を押し付けられることがあります。弁護士が代理人として交渉することで、持分の買取価格や条件について現実的な落としどころを探ることができます。
(2)共有物分割請求の訴訟に対応してもらえる
第三者から共有物分割請求の訴訟を起こされた場合、適切な反論・主張を行わなければ、不利な形で競売が決まってしまう可能性があります。弁護士が代理人として訴訟に対応することで、価格賠償による解決など、住み続けられる結果を目指すことができます。
(3)状況の整理と最善策のアドバイスを受けられる
共有者の破産に関するトラブルは、不動産の状況・ローンの有無・破産手続きの進行状況・共有者との関係など、様々な要素が絡み合います。弁護士に相談することで、自分の状況に合った最善の対応策を具体的に教えてもらうことができます。
6.よくあるご質問

Q. 破産した共有者が自分の家族(元配偶者・兄弟など)の場合はどうなりますか?
A. 共有者が家族であっても、法律上の扱いは変わりません。ただし、家族間の事情を踏まえた交渉や、任意売却・買取などの柔軟な解決策が取りやすい場合もあります。早めに弁護士に相談して状況を整理することをお勧めします。
Q. 破産の開始決定を知らなかった場合、対応が遅れてしまいます。どうすればいいですか?
A. 破産手続きの開始は官報に公告されますが、一般の方が日常的にチェックするものではありません。共有者の様子がおかしいと感じたら早めに確認し、少しでも不安があれば弁護士に相談することをお勧めします。手続きの進行状況は弁護士を通じて確認することも可能です。
Q. 自分の持分に抵当権は設定されていませんが、それでも競売になりますか?
A. あなたの持分に抵当権がなければ、あなたの持分が直接競売にかけられることはありません。ただし、共有物分割請求による競売では不動産全体が対象になることがあるため、安心はできません。状況に応じた対策を弁護士に相談することをお勧めします。
Q. 共有物分割請求を起こされた場合、解決までどのくらいかかりますか?
A. 交渉で解決できれば数ヶ月程度の場合もありますが、訴訟になると1年以上かかるケースもあります。早期に弁護士に依頼して交渉段階での解決を目指すことが、時間・費用の両面で有利です。
住まいを守るために、まず弁護士にご相談ください

共有者の破産は、自分では何も悪いことをしていないにもかかわらず、住まいを失うリスクに直面するという理不尽な問題です。しかし、早期に適切な対応をとることで、住み続けられる可能性は十分にあります。以下のような状況の方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。
- ✅ 共有名義の不動産の相手方が自己破産したと聞いた
- ✅ 破産管財人から連絡が来た
- ✅ 持分を第三者に買い取られたようで、見知らぬ相手から連絡が来た
- ✅ 共有物分割請求の訴状が届いた
- ✅ ペアローンを組んでいた相手が破産し、ローンの返済が止まっている
- ✅ 相続で共有名義になっている不動産の共有者が破産した
初回相談は無料で承っております。不動産の登記事項証明書・ローンの契約書・破産管財人からの通知など、お手元にある資料をご持参いただくと、より具体的なアドバイスが可能です。お電話またはWebフォームよりお気軽にお問い合わせください。
※本コラムは一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。具体的なご事情については、弁護士にご相談ください。
※本コラムの内容は公開時点の法令に基づいています。法改正等により内容が変わる場合があります。

