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遺言がないまま社長が亡くなった実際にあったケース - 会社支配権と相続

遺言がないまま社長が亡くなった実際にあったケース – 会社支配権と相続

2024年2月13日

企業の経営者が築き上げた財産と事業に対する支配権は、経営者の死後、多くの場合、遺族間で深刻な紛争を引き起こす原因となります。特に、遺言がない場合、または遺言が不明瞭である場合、会社運営や相続権を巡る争いはさらに複雑化します。
以下のユースケースを通じて、遺言がない場合の企業の未来、家族、そして遺産の分配にどのような影響を及ぼすかを探ります。

ケース1: 株式の分散と資金繰りの困難

ケース1: 株式の分散と資金繰りの困難

ある企業では、創業者の死後、彼の持ち株が多数の相続人に分けられました。遺言がなかったため、誰がどのように会社を継ぐのか、その方針が定まっていませんでした。相続人たちはそれぞれの生活があり、事業に対する情熱もビジョンも異なります。結果として、株式が分散し、会社の意思決定が困難になりました。経営者が株式を買い戻すための資金を調達できず、会社は経営危機に陥りました。

ケース2:事業所の土地建物の未確定所有権

ケース2:事業所の土地建物の未確定所有権

更に複雑な問題が、事業所の土地建物が亡くなった社長個人の名義であったケースです。遺言がなかったために、事業承継者が土地建物を継承することができませんでした。新しい経営者は、事業を継続するためにこれらを買い取らなければならず、その結果、多額の借金を負ってのスタートとなりました。借金の返済と事業の運営を両立することは非常に困難であり、これが事業の倒産へと直結することも少なくありません。

遺言がない、不明瞭さが招くリスク

これらユースケースから浮かび上がるのは、遺言がない、または不明瞭であることが招いたリスクです。遺言がない場合、法的な相続プロセスは自動的に発生し、予期せぬ結果をもたらします。特に、会社の支配権に関しては、経営の安定性や事業継続計画が直接的に影響を受ける可能性があります。

解決策と予防策

このような辞退を避けるためには、経営者が生前に遺言を作成し、事業の将来に関する明確な指示を遺すことが重要です。遺言書は、資産の分配だけでなく、事業の支配権に関する具体的な指示も含むべきです。また、家族間の公平な対話を促進し、可能であれば事業の将来計画に家族が関与することも、紛争を予防する上で有効な手段です。

最終的に、遺言の存在とその内容は、企業の未来、家族の和解、そして遺産の公正な分配において決定的な役割を果たします。経営者は、遺言を通じて自らの意志を明確にし、生前の価値観とビジョンを将来にわたって守るための措置を講じるべきです。

経営者の方は、ぜひ遺言の作成を検討してみてください。

中小企業の企業法務の専門家である
高瀬総合法律事務所は経営者に寄り添うからできる
遺言書作成サービスがあります。一度ぜひご相談ください。

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このコラムを書いた人

高瀬芳明

高瀬芳明

略歴

  • 私立早稲田実業高校卒業、 東京大学 農学部卒業
  • 平成18年9月 司法研修所卒業・弁護士登録 横浜市内の法律事務所に入所し企業法務,不動産問題を主に取り扱う
  • 平成19年5月 破産管財人就任
  • 平成21年10月 相模原中央総合法律事務所設立
  • 平成25年6月 弁護士法人高瀬総合法律事務所設立