
独占禁止法違反で会社はどうなる?課徴金・事例・対策を弁護士が解説
2026年6月25日
独占禁止法違反は大企業だけの問題ではありません。中小企業でも知らないうちに違反するケースがあり、課徴金・社名公表・刑事罰といった深刻なペナルティを受ける可能性があります。本記事では、独占禁止法の基本から違反した場合のペナルティ・実際の事例・企業が取るべき対策まで、弁護士がわかりやすく解説します。
独占禁止法とは
独占禁止法(正式名称:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)は、1947年(昭和22年)に制定された法律です。公正取引委員会が所管し、事業者間の公正・自由な競争を促進することで、消費者の利益を守り、国民経済の健全な発展を目的としています。
| 正式名称 | 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律 |
|---|---|
| 制定年 | 1947年(昭和22年) |
| 所管機関 | 公正取引委員会 |
| 目的 | 公正・自由な競争の促進、消費者利益の保護、国民経済の健全な発展 |
独占禁止法が禁止する3つの行為

①私的独占(第3条)
事業者が単独または他の事業者と共同して、他の事業者の事業活動を排除・支配することで、一定の取引分野における競争を実質的に制限する行為です。市場シェアを独占するために競合他社を不当に排除するケースが典型例です。
②不当な取引制限(第3条)
複数の事業者が共同して価格・数量・取引相手などを制限し、競争を実質的に制限する行為です。いわゆるカルテル(価格協定・数量協定など)や入札談合がこれに該当します。業界団体での価格情報の共有なども対象になり得るため注意が必要です。
③不公正な取引方法(第19条)
公正な競争を阻害するおそれがある取引行為です。代表的なものとして以下が挙げられます。
- ✅優越的地位の濫用:取引上優位な立場を利用して、相手方に不当に不利益を与える行為(下請けへの不当な値引き要求など)
- ✅不当廉売:原価を大幅に下回る価格で継続的に販売し、競合他社を排除する行為
- ✅拘束条件付き取引:取引相手に不当な制限を課す行為(競合他社との取引禁止など)
- ✅再販売価格の拘束:メーカーが小売店の販売価格を不当に縛る行為
独占禁止法違反のペナルティ

独占禁止法に違反した場合、以下のペナルティが科される可能性があります。
①課徴金
カルテルや入札談合などの違反行為に対して、公正取引委員会から課徴金が課されます。
| 事業者の規模 | 課徴金の算定率 |
|---|---|
| 大企業(製造業等) | 売上額の10% |
| 中小企業(製造業等) | 売上額の4% |
| 大企業(小売業) | 売上額の3% |
| 大企業(卸売業) | 売上額の2% |
※算定率は違反行為の種類・期間・繰り返し違反かどうかによって加算・減算されます。課徴金減免制度(リニエンシー)を利用すれば、最大で全額免除となる場合もあります。
②排除措置命令
公正取引委員会から違反行為の停止・再発防止策の実施などを命じられます。命令の内容は官報・公正取引委員会のウェブサイトで公表されるため、社会的信用への影響も大きいです。
③刑事罰
私的独占・不当な取引制限(カルテル・談合)については、刑事罰の対象となります。
- ✅個人:5年以下の懲役または500万円以下の罰金
- ✅法人:5億円以下の罰金
④社名公表・民事賠償
排除措置命令・課徴金納付命令が出た場合、企業名・違反内容が公正取引委員会のウェブサイトで公表されます。また、違反行為によって損害を受けた取引相手から損害賠償請求を受けるリスクもあります。
中小企業が陥りやすい3つのパターン

「独占禁止法は大企業の話」と思っている経営者は多いですが、中小企業でも以下のようなケースで違反となる可能性があります。
①同業者との価格情報の共有
業界団体の会合や同業者との飲み会などで、「最近うちは単価を〇円にした」といった価格情報を共有するだけでも、カルテルと認定されるリスクがあります。明示的な合意がなくても、情報交換によって事実上の価格協調が生まれる場合は違反となり得ます。
②下請けへの不当な値引き要求
元請けとして下請け業者に対し、正当な理由なく発注後に代金を減額したり、一方的なコスト削減を強要したりする行為は、優越的地位の濫用として独占禁止法違反となる可能性があります。下請法の対象外であっても独占禁止法が適用されるケースがあるため注意が必要です。
③入札における事前調整
公共工事や民間の競争入札において、事前に落札予定者や入札価格を調整する行為は入札談合として厳しく処罰されます。業界の慣行として行われていたとしても、違法行為であることに変わりはありません。
よくある質問(FAQ)
Q:中小企業でも課徴金の対象になりますか?
A:はい、なります。中小企業の場合は大企業より算定率が低く設定されていますが(製造業等で売上額の4%)、課徴金の対象となることに変わりはありません。違反行為の対象となった売上規模によっては、経営に深刻なダメージを与える金額になることもあります。
Q:知らずに違反した場合も処罰されますか?
A:はい、故意・過失を問わず違反行為があれば課徴金・排除措置命令の対象となります。「知らなかった」という事情は原則として免責事由にはなりません。だからこそ、事前の法務チェックが重要です。
Q:違反の疑いが出たらまず何をすべきですか?
A:すぐに弁護士に相談することをお勧めします。課徴金減免制度(リニエンシー)を活用すれば、最初に自主申告した事業者は課徴金が全額免除される場合があります。ただし申告順位によって減免率が変わるため、早期の対応が極めて重要です。
Q:顧問弁護士がいれば独占禁止法違反は防げますか?
A:顧問弁護士と定期的に契約内容・取引慣行をチェックすることで、違反リスクを大幅に減らすことができます。特に業界団体への参加・下請け取引・競合他社との接触が多い企業は、コンプライアンス体制の整備を弁護士と一緒に進めることをお勧めします。
独占禁止法違反が心配な方へ
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