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【会社経営者必見】相続の落とし穴5つと解決策

【会社経営者必見】相続の落とし穴5つと解決策

2024年8月13日

会社経営者や富裕層にとって、相続は避けて通れない重要な課題です。しかし、相続には多くの法律的な落とし穴が存在し、適切な準備をしなければ大きなトラブルに発展することも少なくありません。
相続の準備不足は、残された家族に大きな負担を強いるだけでなく、長年かけて築き上げてきた会社を混乱に陥れる可能性もはらんでいます。
本コラムでは、本当にあった相続の落とし穴とその解決策について解説します。

相続の基本

まず、相続に関する基本的な流れを理解しておきましょう。日本の民法では、相続は故人の死亡により自動的に開始され、遺言がある場合はそれに従って遺産が分割されます。
遺言がない場合は、法定相続人に対して法定割合で遺産が分割されます。しかし、相続人間でのトラブルや税務上の問題は頻繁に発生します。

落とし穴1: 遺言書の不備

落とし穴1: 遺言書の不備

遺言書が有効でなければ、遺言の内容が実行されません。過去に、著作権を持つ作家が遺言書を残していましたが、形式的な不備があったため無効とされたことがありました。結果として遺族間で争いが生じ、著作権の管理が混乱する事態が発生しています

解決策

遺言書は法律に基づいた形式が求められます。公正証書遺言を利用することで、形式的な不備を避けることができます。公正証書遺言は、公証人役場で公証人と証人が立ち会って作成されるため、法的に強力です。

落とし穴2:相続財産の評価額を把握していない

落とし穴2:相続財産の評価額を把握していない

相続税は、相続財産の総額に応じて税率が段階的に高くなる仕組みです。そのため、相続税対策においては、まずは 相続財産を正確に評価すること が重要となります。

しかし、「相続税の計算方法が複雑」「不動産や株式など、財産の評価が難しい」といった理由から、評価額を把握しないまま相続対策を進めてしまうケース が見受けられます。 具体的な例として、不動産の評価はその立地や用途、周辺環境の変化によって大きく異なります。また、株式の評価も市場価値や会社の財務状況に左右されるため非常に複雑です。一部の資産について過大評価したり過小評価したりすると、相続税が想定以上に高額になったり、相続人間でトラブルが発生したりする可能性があります。

解決策

不動産や株式の評価には専門的な知識と経験が求められるため、税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することが重要です 。定期的に財産評価を受け、現状を把握しておきましょう。また、財産の評価が高い場合、相続税の負担を軽減するために財産の分散や活用を検討することも有効です。例えば、持ち株の一部を売却してキャッシュ化する、あるいは不動産を賃貸物件として活用することで、評価額をコントロールすることができます。

落とし穴3: 相続税対策の失敗

落とし穴3: 相続税対策の失敗

富裕層や会社経営者の場合、相続税が大きな問題となります。A社の創業者が相続税対策を怠ったため、多額の相続税が発生し、企業資産の大部分が流失する事態となりました。
その他、生前贈与の活用方法を甘くみつもると失敗します。
生前贈与は、計画的に相続財産を減らすことで相続税対策になる有効な手段です。しかし、「贈与税がかからない範囲内で毎年贈与する」「暦年贈与と併用して高額な財産を一度に贈与する」など、安易な生前贈与は思わぬトラブルに発展する可能性 があります。

解決策

相続税対策には、生命保険の活用、持株会社の設立、信託の利用など多様な方法があります。 相続税は、相続開始から10ヶ月以内という短い期間で申告・納付する必要があります。 相続税の納付額が想定外に大きくなってしまうと、資金繰りに窮したり、最悪の場合相続した財産を売却せざるを得ない状況に陥ってしまう可能性もあるのです。 早めに専門家のアドバイスを受け、適切な方法で対策を講じることが重要です。

落とし穴4: 事業承継の失敗

特に会社経営者にとっては、事業承継が大きな課題となります。B社の創業者が後継者を明確に指定しなかったため、家族間で後継者争いが勃発し、企業が分裂する事態となりました。 「子どもが後を継いでくれるだろう」「まだ先の話だから」と安易に考えていると、いざという時に後継者不在に陥り、事業の継続が困難になる可能性があります。

解決策

事業承継は計画的に行うことが重要です。事前に後継者を選定し、教育・訓練、経営ノウハウの伝承を実施するとともに、株式の分散を防ぐための対策を講じましょう。ファミリービジネスの場合、家族信託を活用することも一つの方法です。

落とし穴5: 特定の家族関係の問題

富裕層家庭では、養子縁組や再婚に伴う新たな家族関係が相続の課題となることがあります。過去に著名な芸能人の事例で、再婚後の家族間で財産分割が複雑化し、法的な争いに発展したケースがあります。

解決策

家族関係が複雑な場合、相続に関する合意書を作成することが有効です。また、養子縁組の際には法律的な観点から事前に検討を行う必要があります。家族会議を開き、全員が納得する形で方策を決定することが重要です。

まとめ

相続における落とし穴は、法律的な不備や税務対策の失敗、事業承継の計画不足など多岐にわたります。特に会社経営者や富裕層の場合、影響が大きいため、早めの対策が不可欠です。
相続問題は、法律、税金、不動産など、専門的な知識が必要となる場面が多く、個人で解決するのは容易ではありません。

弁護士、税理士、司法書士などの専門家は、それぞれの専門知識を活かし、 お客様の状況やご要望に合わせた最適な解決策を提案 します。専門家のアドバイスを受け、万全の準備を行うことで、相続に伴うトラブルを未然に防ぎ、大切な財産や企業を次世代に確実に引き継ぐことができます。

先日相談に来たのは40代の経営者でした。早めに専門家に相談することで、最適な対策を講じることができます。ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

中小企業の企業法務の専門家である
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このコラムを書いた人

高瀬芳明

高瀬芳明

略歴

  • 私立早稲田実業高校卒業、 東京大学 農学部卒業
  • 平成18年9月 司法研修所卒業・弁護士登録 横浜市内の法律事務所に入所し企業法務,不動産問題を主に取り扱う
  • 平成19年5月 破産管財人就任
  • 平成21年10月 相模原中央総合法律事務所設立
  • 平成25年6月 弁護士法人高瀬総合法律事務所設立